プロローグ
◆プロローグ
一条の光が、雲を貫き大地を照らす。
にわかに遠雷が轟き、降り始めた雨が森の香を舞い上げる。
気づけば、姿は目前にあった。
天を飲み込む嵐の下、逆巻く風のすぐ向こう、美しく荒ぶる絶対者。
そう、すでに両者は知っていた。
出会いが必然であることを。
そして、間もなく彼らが分かたれることを。
狩人と、その獲物。どちらかが、どちらかに。
世界が未知で溢れていた時代。
辺境の空を飛竜が舞い、未踏の森を牙獣が闊歩する。
その骨は、家屋を支える柱となって人の営みを見守り、
その皮は、風をはらむ帆となって船をあらたなる海へ導いた。
やがて再び一条の光が、雲を貫き大地を照らす。
にわかに遠雷が轟き、降り始めた雨が森の香を舞い上げる。
そしてまだ見ぬ何かを求め、狩人は静かに歩を進めてゆく――。